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 最近は、以前にも増して「自分が(知り合いが)うつ病ではないか」という相談が増えてきました。
 うつ病は、きちんと治療すれば比較的改善しやすい病気ですが、発見が遅れて専門医にかかる機会を逃しやすいことが問題とされています。専門医にかかる機会を逃す理由として、うつ病では身体症状が出やすいため、患者さんは内科などで身体の検査をして、異常がなければそのままにしてしまうことがあげられています。
 うつ病が疑われる患者さんが心療内科や精神科を受診しない理由の一つに、「自分は弱い人間でないからうつ病になるはずはない。」「自分は元来明るい人間だからうつ病とは縁がない。」と患者さんが考えることがあげられます。つまり、「うつ病は精神的に弱い人間がなるもの」、「うつ病はネクラな人間がなるもの」という誤解があるようです。
 うつ病は、7人に一人が一生のうちに経験する病気と言われています。精神的に強かろうが弱かろうが、性格が内向的であろうが外交的であろうが、誰にでも起こりうる病気であることを知っておくことが大切です。
 誰でも悩みがあれば気分は沈むことがあるでしょう。気分が沈むだけでなく、食欲が落ちたり、夜眠れなくなったら、しかもこれらの状態が2週間以上続くなら積極的にうつ病を疑ってみるといいでしょう。
 「うつ病は弱い者がなるもの」という誤解に影響されると、治療にも悪影響が出ることがあります。
 うつ病の原因はまだはっきりしないものの、脳内の物質のバランスが変化していることはわかってきました。このため治療で大切なことは、服薬と休養です。
 しかし、「うつ病は弱いものがなる病気」と誤解をしていると、「薬を飲んでも解決にならない。薬がやめられなくなるだけだ。根本を治さねばダメだ」と考えることもあるようです。根本というのは性格の問題のようです。この結果、薬に対する不信感があり、治療に専念できない場合もあるようです。また休養に関しても「休んでいると体がなまる。」「楽な生活に慣れると、さらに困ったことから逃げる癖がつく」と考え、休養が徹底しないことが多いようです。
 このように、一つの誤解で治るはずの病気がこじれるということが起こりえるのです。
 皆さんの身の回りにうつ病らしい人がいたら、是非正確な情報を伝えてあげてください。

 (参考文献)知人がうつ病になったとき読んでおく本  三輪書店