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 病気にかかった人は、病気にかかったことで心の状態に何らかの変化が起きます。また、心理的なストレスにより発症したり、悪くなったりする病気もあります。 
 体の病気の中には、心理的ストレスが大きく関連するものがあります。このような病気を心身症と呼びます。たとえば胃潰瘍の患者さんがいます。この人は仕事のストレスが強まると、タバコやコーヒーなど胃に悪いものを多く取るようになり、この結果胃潰瘍を悪くします。これでは医者にかかって潰瘍を治す薬をもらっても、他の人より薬が効きにくいかもしれません。 このように、身体の病気に心理的な問題が関与していると、通常の治療を行っても病気の治りが悪かったり、再発を繰り返すことがあります。この場合は、患者さんの日常生活を理解して、心理的な問題を解決(軽減)する必要が生じます。
 このように、同じ胃潰瘍でも、心理的な問題を取り扱う必要がある場合、患者さんの胃潰瘍は心身症といわれます。すなわち、心身症という独立した病気があるわけでなく、胃潰瘍という病気だが、心理的なアプローチが必要なことを表すために胃潰瘍(心身症)と表記します。
 心身症の中には、胃潰瘍のように胃の粘膜に目でみてわかるような変化が出る病気のほかに、身体の状態が一時的に変化する(多くの場合は身体の変化をリアルタイムで見ることができない)病気もあります。
 たとえば、頭痛に悩まされることが多い人が、CT、MRI、脳波などの検査をしても異常のないことがよくあります。慢性の頭痛の原因で最も多いのは緊張型頭痛です。この病気は肩や首の筋肉が長時間凝ることが原因で発生します。近年は、コンピュータ作業で目や肩の筋肉を酷使することが多く、緊張型頭痛に悩む人が増えています。
 また、片頭痛という病気も検査で異常が見つからないことが多いのですが、この病気は、脳に入る血管が痙攣することが頭痛と関係があるといわれています。
 筋肉の収縮や血管の痙攣は、身体の変化ですが、目で確認しにくいのです。
 読者の皆さんの中には、「緊張すると下痢をする」という経験のある人も多いのではないでしょうか。この場合、緊張することによって腸の動きが早くなり、下痢が発生します。このようなことで日常生活が制限を受けるようになれば、過敏性腸症候群という病気です。過敏性腸症候群も、検査をして腸の動きが早いのを確認するのは難しいのですが、れっきとした身体の病気です。
 ストレスが関連した身体の病気は、心療内科の最も得意とする分野です。