コラムトップ

 
 先日日本うつ病学会という学会に参加してきました。この学会は、発足してからまだ3年目の新しい学会ですが、日常の臨床にでも役立つテーマが数多く取り上げられていました。
 今回私が特に興味を持って聞きに行ったのは、うつ病の患者さんの職場復帰に関する企画でした。
 企業の立場からみると、長期に会社を休んでいる社員のなかで、うつ病のために欠勤している人が目立つようです。また、せっかく復帰してもすぐに体調を崩して、再度休んでしまう人も少なくないようです。このため、我々臨床医と職場との連携を密にしていかねばなりません。
 うつ病は、服薬と休養を徹底すれば比較的治りやすい病気です。しかし、なかにはなかなか治りにくいケース(全体の20〜30%と言われています)や、よくなっても再発を繰り返すケースもあります。
 うつ病が再発しやすい原因の一つとして、病気が十分に良くならないうちに復帰してしまうことがあげられます。うつ病にかかった本人としては、うつ病にかかったこともショックですし、会社を休まなければならないことも受け入れがたいことだと思われます。特にはじめてうつ病にかかった患者さんは、会社を休むといっても1週間程度の休みをイメージしていることも多いようです。しかし、実際には数ヶ月間は休養する必要があることが多いのです。
 また、うつ病が良くなったからといってすぐ復職ができるとは限りません。病気が良くなり日常生活が支障なく行えるようになったことと、勤務が普通に出来ることはイコールではないのです。
 我々臨床医が学会に参加すると、産業医の先生方から、「患者さんが十分良くならないうちに復職許可を出さないでください。」と要望される機会が大変多いのです。
 うつ病が良くなって、仕事が出来る状態とは最低でも@朝会社に間に合う時間に起きられる、A満員電車に乗って通勤しても身体が疲れない、B1日8時間机に座っていられる、C本や書類を読んで、その意味がすぐ理解できる程度のことは要求されるでしょう。そのうえで、職場環境や仕事量に配慮することになるのでしょう。
 うつ病の社会復帰に関しては、今後新しい知見が出てきそうです。当クリニックも、新しい知見を取り入れながら、診療を進めてゆく予定です。