秋も深まり、昼間の時間が短くなってきました。夜部屋に一人でいると、自然と仕事のこと、学業のこと、家庭のこと、自分の将来などに思いをめぐらし、不安になることはありませんか。
  現在の日本のような高度に技術化した社会では、仕事でも専門的な知識や技術が要求されますし、精神的にも「自分らしさ」ということが過度に強調されます。しかし、「自分らしさ」という感覚をもつことは、それほどやさしいことではないかもしれません。「自分らしさ」を感じられないためにいつも不安を感じている人も珍しくありません。
  一般に、何か理由があって不安になることは、病的でありません。人は不安を感じることによって、自分のみに迫った危険を感じ取り、適切に対処できるからです。

  これに対して、日常生活に大きな障害となる病的な不安も知られています。
一つは浮動性不安と呼ばれるもので、不安の対象がはっきりしないものです。「不安だけど何が不安だかわからない」状態です。浮動性不安が慢性化し、生活に支障をきたした状態を全般性不安障害と呼びます。
  病的な不安では、身体の不調を伴うことが多いものです。全般性不安障害では、筋肉の緊張(頭痛、肩こり、背中のはりなど)や手のふるえ、めまい、ふらつき、動悸、頻脈などを感じることが多いようです。また、落ち着かない気分や緊張感、イライラ感、集中力の低下、睡眠障害を伴うことが多く、長く続くとうつ病と区別するのが難しいこともあります。

  全般性不安障害は決して珍しい病気ではありません。人口の2.5〜8%の人々が現時点で全般性不安障害の診断基準に当てはまるといわれています。また、全人口の6〜10%の人が一生に一度は全般性不安障害になるといわれています。また、男性より女性のほうがなりやすいと言われています。用心深くてリスクを避ける傾向が強すぎるとこの病気になりやすいともいわれています。「石橋を叩いても渡らない」とかえって不安になりやすいとでもいえるのでしょうか。
  全般性不安障害は、心療内科の外来ではよく見かける病気です。そして、薬物などを適切に用いることによって症状を和らげることが出来る病態です。
 身近に不安で悩んでいる人がいたら、一度受診を勧めてみましょう。