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 2011年3月11日東日本大震災が発生し、東北及び北関東に甚大な被害が発生しました。犠牲になられた方のご冥福を心からお祈りいたしますとともに、被災されました方々にお見舞い申し上げます。
 被害地におられる方には数々の困難があると推察します。まず災害後間もない時期には、生命の安全を確保することが主な課題になるかと思います。昨日テレビで被災地の状況を見ましたが、現在もまだライフラインが回復せず、水を確保できないために避難所の衛生状態が悪いということでした。今は感染症が流行しないように対策をとることが急務といえるでしょう。
 その後生命の危険は遠のくものの、避難所での不自由な生活が続く時期にはメンタルヘルスの問題も数多く表面化すると思われます。離れ離れになった家族や友人のことを思い、「自分だけ助かってよかったのか」「亡くなった人に対してもっと自分ができることなどなかったのか」などと自身を責めることも多いのではないでしょうか。  大切な人と別れたり、暮らし慣れた環境や自分の役割を失ったり、大切な所有物(自分の健康なども含みます)を失ったときに人は誰でも悲しみを感じます。このような悲しみから回復する過程を喪の仕事と呼びます。
 喪の仕事の過程には、失ったことを否認する段階、無感覚・無感動になる段階、怒りを意識する段階、気分が落ち込む段階などをへて、喪失を受容し、あきらめる段階に到達するといわれています。
 一方で今回の震災のように、危うく死ぬような出来事、自分や他人の身の安全にかかわる危険を目撃・体験した場合には、心身の状態に特徴的な変化が起こることがあります。
 たとえば、不安が強くて眠れなくなる(過覚醒)、怖い場面が繰り返し鮮明に思い起こされる(フラッシュバック)、事件を思い起こさせる状況に近寄れない(回避)、ボーっとして現実感がなくなる、事件の一部を思い出せない(健忘)などです。
 このような変化は通常は1カ月以内で回復することが多いのですが、3カ月以上持続すると外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されます。
 トラウマに対しては、急性期を過ぎ、身の安全が確保できた頃(数個月〜半年後)に、無理に記憶に蓋をするのではなく、信頼できる人に当時のつらかったことを話すとよいといわれています。症状が強い時は専門家に相談することが適切です。