我々は、普段の生活の中で何気なく健康を意識することが多くなりました。巷には、健康食品やサプリメントなどが氾濫していますし、スポーツクラブやヨガの教室もまだまだ増えていきそうです。
  その一方で、「健康ってなんだろう」と改めて考えることは少ないのではないでしょうか。何となく「病気でないこと」位はイメージできますが、それだけで本当に健康といえるのでしょうか?
  世界保健機関(WHO)では、健康を「単に病気でないだけでなく、肉体的にも精神的にも社会的にも良い(well-being)状態」と定義しています。このwell-beingという言葉がキーワードになるわけですが、ある一時点で病気でないだけでなく、「その人の持つ能力を十分生かしきれた状態」というニュアンスがあるわけです。極端な言い方をすれば、「天(神)から授かった命を大切にして、自分らしく生きていますか」と言い換えることも出来るのではないでしょうか。
  我々は、単に疾病や障害のない状態を消極的健康、WHOが定義するような健康を積極的健康と呼んでいます。
健康の定義が広がり、医療の対象となる範囲も広がっています。たとえば何の自覚症状がなくても血中コレステロールの数値の高い人は、動脈硬化を予防するために治療を受けるようになりました。また、顔の整形をしたり、おなかの脂肪を吸引したりと、その人の主観的な美醜の感覚に合わせて治療が行われるようになりました。
  さて、健康が「自分の持つ能力を発揮する」「自分らしく生きる」ことを示すことがお分かりいただけたと思います。そうなると、我々の毎日の生き方が健康か不健康かという視点が生じます。タバコを吸うことは、自分の心肺能力を落とすことになりますし、クヨクヨしすぎることは、自分が社会に参加するうえでマイナスになります。その人が、自分の健康をどのようにとらえるかということは、まさにその人のアイデンティティーに重なるわけです。
  それでは、健康な人とはどのような人をさすのでしょうか。これまでの研究では、健康な人の行動パターンとして、@色々なことに自分が関与する能力があると自信を持てること、A物事が最後はどうにかなるさと楽観的な見通しを持てること、B時にはリスクのあることにチャレンジすることなどがあげられています。
  アーツクリニックでは、「健康は日々の行動の積み重ね」であると理解し、人々が自分自身に責任を持って健康な日々を送ることができるように相談・援助を行っていきたいと考えております。