長かった冬も終わり、風も暖かい季節となりました。厳しい受験シーズンもいよいよ大詰めを迎えようとしています。
 桜の花が咲くようになると間もなく入学シーズンが訪れます。新入生は新しい環境に入り、友人、先輩、先生など多くの人と交流する機会ができます。皆さんの中には、誰とでもすぐに仲良くなれる人もいれば、人見知りが強く、打ち解けるまでに時間がかかる人もいると思います。
 皆さんの周りには、人見知りが極端に強い人はいませんか。たとえば、人前で話すときに声がふるえたり、顔が赤くなったりする人。あがってしまい、話すときにどもったり、言いたいことを十分言えない人。緊張して動悸がしたり、はきけがして、その場にいるのがつらくなる人。緊張のしかたは十人十色です。
 大勢の前で話をするときなどは、誰でも緊張するものです。しかし、緊張しやすいことで日常生活が困難になるなら、あがり症も病気といえます。
 最近、人前で日常生活に支障があるほど不安になる病気は社会不安障害と呼ばれて、医学的な治療を行う病気とされています。
 アメリカ精神医学界が作成した診断基準(DSM―W―TR)によると、社会不安障害とは、@人から注目される状況で、自分が恥をかくような事態を恐れる、A前期の状況で必ず不安反応(動悸、赤面、冷汗など)が出現する、B本人は恐怖が不合理で過剰なことを認識している、C恐れている状況を回避することがあるなどの特色があります。
 日本では昔から対人恐怖という病気が多いことが知られています。典型的な対人恐怖も社会不安障害の一種です。この病態は、思春期に入る中学生くらいから発症することが多く、家族などの身内でもなく、まったく知らない人でもない人(たとえば学校の同級生や職場の同僚など)の前で過度に緊張する状態です。
 最近うつ病の治療薬でもあり、脳内のセロトニンという物質の動きを調節するSSRIという一群が社会不安障害にもある程度有効なことが分かりました。SSRIは、人前に出るときの不安をまったくなくすわけではありませんが、ある程度軽減するのです。
 人前で緊張して困る方は、一度医療機関で相談してみてはいかがでしょうか。