ストレスの「予防」を大切に

 何らかの心理的な要因から日常生活が大きく障害される場合が最近顕著に増加しています。厳しい状況が継続すると、いわゆる「こころの病」に陥ります。
 こころの早期回復には、心理療法的なアプローチと安心できる場としての治療環境が重要です。患者さんのその時々の必要性に応じて包括的に各種技法を用いることが最も大切です。
だれでもふとした経験から陥りやすいこころの病は、ふだんからメンタルヘルスをよりよい状態に保つ「予防」に取り組むことで、仮に陥ったとしても早期発見が可能になるとともに、治療の時間も短くすんで早期回復を図ることができます。
 アーツクリニックでは、治療はもとより、この「予防」にも力を注いでいきたいと思います。

こころの病について正しい理解を

 人間の心は、本人にも意識できないほど壊れやすい「脆さ」と適切な治療を施せば回復できる「強さ」をあわせ持ちます。
 「20人に1人は経験者」といわれる「うつ病」の症例が端的にそれを物語っています。今日多く見られる仮面うつ病では、精神症状(無気力、憂鬱感など)が乏しく、体の病気そっくりの症状(だるさ、食欲不振、肩こり、不眠など)が現れるため、正しく診断されずに放置されて苦境(「脆さ」)に陥るケースが少なくありません。  しかし一方で、休養・休息と抗うつ剤による薬物治療を適切に行えば回復できる「強さ」が心にはあるのです。
 うつ病は一例ですが、激しい心理的社会的ストレスが渦巻く現代において、だれもが遭遇しうる「こころの病」について正しい知識と理解を深めていただければ望外の幸せです。


顧問
筒井末春
(東邦大学医学部
名誉教授)

昭和9年生まれ
昭和33年
昭和47年
昭和54年
昭和55年
平成11年
現在
東邦大学医学部卒業
東邦大学医学部第二内科助教授
同教授
同医学部に心療内科を設立、教授
同大学名誉教授
人間総合科学大学副学長

自律神経失調症、不定愁訴、起立性低血圧、片頭痛などの神経系心身症を専門とするとともに、仮面うつ病など一般的に症状を看過されがちなうつ病の研究にも取り組んできた。抗不安薬や抗うつ薬など新薬開発にも尽力。

●著書
「自律神経失調症」(永井書店)、「仮面デプレッションのすべて」(最新医学文庫)、「心身医学入門」(南山堂)、「がん患者の心身医療」(新興医学出版社)「自律神経失調症をなおす」(保健同人社)、「ストレス」(グロビュー社)、「心身症入門」(女子栄養大学出版部)、「ライフスタイルからみた心とからだの健康」(技術出版)など。