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先日テレビをみていたらNHKでSongsという番組が流れてきました。ちょうど1年前、この番組の第1回を見たことを思い出し、チャンネルを変えないことにしました。
 番組では偶然にも(番組の制作者からすれば予定通りでしょうが)1年前と同じく竹内まりやさんの特集でした。昨年は、彼女が久しぶりに「人生の扉」という曲を製作し、この番組ではじめて発表するという内容だったと思います。今回も同じシーンとともに人生の扉が流れてきました。
 20代(fun)、30代(great)、40代(lovely)、50代(nice)、60代(fine)、70代(alright)、80代(good)、そしてlive to 90と肩の力が抜けて前向きな境地が歌われています。そして、「時の過ぎるのが早いことを知ったので、どんな小さなことでも覚えていたい」という歌詞が余韻としてしばらく頭の中に残りました。
 私もいつのまにか人生の半分も過ぎ、これからは時間のたつのが猛烈に速くなるのでしょう。物事の見え方も変わってくるのでしょう。
 その昔、孔子は「吾、十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順ふ(人の言葉が素直に聞ける)。七十にして心の欲する所に従って矩(のり)をこえず(道をはずさない)。」と書いています。
 このように人生の節目節目で達成すべきテーマを発達課題、人生を年齢別に分けて人は生涯成長するという視点をライフサイクルと呼びます。
 ライフサイクルの考え方を体系化したのはエリクソンという人でした。彼のライフサイクル論をもとに年代ごとの発達課題をまとめると以下のようになります。
乳児期(0~1歳)   母親との一体感を通して自信や基本的信頼感を得る。
早期幼児期(1~2歳) 親のしつけを通して自立性、自己統制を学ぶ。
幼児期(2~6歳)  「ごっこ遊び」を通して社会的役割を学ぶ
学童期(6~12歳)  努力によって何か形のあるものを作り、自分の存在を 認められる
青年期(12~20歳)  親から離れた自分自身を作る
若い成人期(20代)  社会に肯定され、確立した個を作る
成人期(30代)    親として次の世代を育て、指導する。
中年期(40~50代)  自己を問い直す。人生が下降に転じる。
初老期(60代)    中年期と老年期をつなぐ
老年期(70代以降)  心身の衰え、喪失体験を感じる一方で人生をまとめる

 最近は平均寿命が延び、高学歴化も進んだために、成人期と老年期が延長しています。人生の課題も徐々に変わってきているのかもしれません。
 私も75歳を過ぎて、「後期高齢者」とは呼ばれたくありません。「新老人」と呼ばれたほうがポジティブな気持になれると思います。
 クリニックを受診される方が、「気分が沈む」と悩んでいても、その人の年齢やおかれた状況によって気分が沈む意味合いが異なることがあります。
 ライフサイクルという考え方は、我々が日常診療で常に念頭に入れている考え方ですが、私個人がどのように生きるか考えるうえでも意識していたい考え方です。